女性の先輩を押し倒したあの夜から。私がビアンとして歩き始めた体験談
A WOMAN'S STORY / 体験談
社会人一年目のある夜。私はお酒の勢いで職場の女性の先輩を押し倒してしまいました。
あのとき先輩がどんな顔をしていたのか今でもはっきり覚えています。翌朝なんて本気で会社を辞めたくなったくらい恥ずかしくて…まさかあんなことをしてしまうなんて自分でも思っていませんでした。
でもあの夜がなかったら先輩との関係はずっと普通の先輩と後輩のままだったのかもしれません。
誰にも言えずに続けていた先輩との関係。そして先輩と離れてから知り合った女性たちのこと。こうして書くのは初めてなのでちょっと恥ずかしいですが、私が女性を好きになってからの話をしてみようと思います。
学生時代から女の子が気になっていた
昔から可愛い女の子を見るのが好きでした。中学生の頃なんてクラスにいる綺麗な子をつい目で追ってしまったり、部活の先輩に褒められただけで一日中機嫌がよかったり。今考えるとかなりわかりやすいんですけど、当時は単に憧れているだけだと思っていました。
高校に入ると周りの友達は彼氏の話ばかり。私も普通に恋バナに参加していたし大学では男性と付き合ったこともあります。でも彼氏と一緒にいても何となく物足りないというか…別に嫌いじゃないし楽しいこともあるんですが、友達と遊んでいるときとあまり変わらなかったんですよね。
それなのに仲の良かった女友達に彼氏ができたときは結構ショックでした。遊ぶ回数が減って寂しいだけだと思っていたけど、彼氏の話を嬉しそうにされると何だか面白くない。今ならあれは嫉妬だったんだろうなと思います。
大学時代には女性同士で付き合っている人の話をネットで読むようになりました。最初は興味本位だったはずなのに気づけば夜中までそういうサイトを見ていたりして。女性同士のキスってどんな感じなんだろうとか、もし自分に彼女ができたら…なんて想像したこともありました。
とはいえ実際に女性と付き合った経験はゼロ。自分から誰かを誘う勇気もなかったので結局何もないまま大学を卒業しました。
職場の先輩に惹かれるまで
新卒で入った会社で私の教育係になったのが4歳年上の女性の先輩でした。
第一印象はちょっと怖い人です。仕事中は結構厳しくてミスをすると容赦なく注意されるし、最初の頃は話しかけるだけでも緊張していました。でも仕事が終わると意外と気さくで私が落ち込んでいると飲み物を買ってきてくれたりするんです。
顔は綺麗系で髪は肩より少し長いくらい。仕事中はいつも後ろでまとめていたんですが、一度休日に偶然会ったときは髪を下ろしていて思わず見とれてしまいました。いつもパンツスタイルなのにその日はワンピースだったのもあって何だか別人みたいで…。
入社して半年ほど経つ頃には二人でランチへ行くのも普通になっていました。仕事帰りに飲みに誘ってもらうことも増えて、いつの間にか会社で一番仲のいい人になっていたと思います。
当時先輩には彼氏がいませんでした。私もフリーだったので飲みに行けば自然と恋愛の話になるんですが、先輩はいつも「いい男いないかな〜」なんて言っていましたから、まさか女性も恋愛対象だなんて思ってもいませんでした。
ただこの頃にはもう自分でも少しおかしいなと感じていたんです。
先輩が他の後輩と楽しそうに話していると気になるし、飲みに誘われた日は朝から服装を考えてしまう。あるとき会社の飲み会で先輩の隣に別の女性社員が座ったんですが、それだけで妙に面白くなくて。自分でも何でこんなことでイライラしてるんだろうと思いました。
好きだったんでしょうね。でも職場の先輩だし相手は女性だし、もし気持ちを知られて避けられたら…そう考えると何もできませんでした。
酔った勢いで先輩を押し倒してしまった夜
あの日は仕事で大きなミスをしてしまい朝から散々でした。取引先に迷惑をかけて上司にも怒られ、結局先輩にまでフォローしてもらうことになって…。情けないし申し訳ないし早く帰って寝たいと思っていたところに先輩が声をかけてくれました。
「今日飲みに行く?」
いつもならビール二杯くらいで終わるのにその日は結構飲んでしまいました。先輩がずっと話を聞いてくれるものだからつい甘えてしまったんでしょうね。気づけば終電が危ない時間になっていて先輩の家に泊めてもらうことになったんです。
初めて入った先輩の部屋は思っていたより生活感がありました。ソファには畳みかけの洗濯物が置いてあるしテーブルには読みかけの雑誌。会社ではいつもきっちりしている人なのでこういう一面を見られたのが何だか嬉しくて。部屋着に着替えた先輩もいつもよりずっと可愛く見えました。
コンビニで買ったお茶を飲みながらしばらく話していると先輩が突然「最近好きな人とかいないの?」と聞いてきました。
普段なら適当にごまかすところです。でも酔っていた私はつい「いますよ」と答えてしまったんです。
「え、誰? 会社の人?」
「まあ、そうですけど……」
「私の知ってる人?」
「知ってます」
「誰なの、気になるじゃん」
先輩は完全に面白がっていて誰なのか教えてと何度も聞いてきました。目の前にいる本人だなんて言えるわけもなく適当に笑ってごまかしていたんですが…先輩が顔を近づけて「教えてよ」と言ってきたとき、なんだか急にドキドキしてしまって。
たぶんお酒のせいもあったと思います。普段なら絶対にそんなことしないのにそのときはもう我慢できなくて…気づいたら先輩に抱きついていました。しかも勢い余ってそのままソファに押し倒してしまい先輩もびっくり。
さっきまで笑っていた先輩が真顔になった瞬間、私も一気に酔いが冷めました。
やばい、何やってんの私…。
慌てて先輩から離れたものの恥ずかしいやら申し訳ないやらで顔もまともに見られませんでした。何度も謝りましたが先輩はしばらく黙ったまま。怒られるのは当然として明日から会社でどうすればいいんだろうと、そればかり考えていました。
しばらくして先輩が「とりあえず座って」と言ってくれたのでソファの端に座りました。さっきまであんなに楽しく話していたのに今は時計の音がやけに大きく聞こえるくらい静かで…。結局その日は「明日ちゃんと話そう」ということになり別々に寝ました。
翌朝はもう最悪でした。目が覚めた瞬間に全部思い出してしまい布団から出たくなくて。先輩は普通に朝食を用意してくれていましたが私はまともに顔も見られません。
勇気を出してもう一度謝ると先輩が少し考えてから聞いてきました。
「昨日のこと、覚えてる?」
「全部覚えてます。本当にすみません」
「私のことが好きってこと?」
「……そうだと思います」
「そうだと思うって何よ」
先輩が笑ったので少しだけ安心しましたが、あの夜の行動については改めてきちんと謝りました。酔っていたからといって許されることではないし先輩が驚いたのも当然です。
それでも最後に「嫌いになったわけじゃないよ」と言ってくれたときは本当にほっとしました。
先輩との秘密の関係が始まった
それから数日間は会社で顔を合わせるのが気まずくて仕方ありませんでした。先輩はいつも通り仕事を教えてくれるし普通に雑談もしてくれるんですが、私は顔を見るたびにあの夜を思い出してしまいます。
そんなある日先輩から仕事帰りに食事へ誘われました。
そこで初めて聞いたんです。先輩も昔女性と付き合ったことがあるって。
男性とも付き合った経験があって特にどちらかに決めているわけではないそうです。もうびっくりしました。だって今までそんな話は一度も聞いたことがなかったし、私だけが勝手に好きになっていると思っていたので。
もちろん女性と付き合ったことがあるからといって私を好きとは限りません。でも少しくらい期待してしまいますよね。
帰り道で思い切って「また二人で会ってもらえますか」と聞いてみました。先輩はあっさり「いいよ」と返してくれて、それから休日にも会うようになったんです。
初めてキスをしたのは先輩の部屋でした。
あの夜とは違って二人ともお酒は飲んでいません。先輩が私の気持ちを確かめてくれて私もちゃんと自分の意思で応えました。
ただいざとなると緊張してしまって…。先輩の顔が近づいてくるのを見ているだけで心臓がうるさいくらいドキドキするし目を閉じるタイミングもわからない。キスが終わったあとも恥ずかしくて顔を上げられず先輩に笑われてしまいました。
その後初めて女性と体の関係を持ちました。男性との経験がまったくなかったわけではありませんが、女性と二人きりで過ごす時間は私にとって想像以上に特別でした。先輩に触れられると緊張するし相手がどう感じているのかも気になってしまう。先輩はそんな私を見て何度も「大丈夫?」と聞いてくれました。
翌朝隣で眠っている先輩を見ていると何だか不思議な気分になりました。いつも会社で会っている人なのにこうして同じ部屋で朝を迎えているなんて。先輩が目を覚まして「おはよう」と笑ったときは嬉しいのに恥ずかしくて思わず布団をかぶってしまいました。
付き合っているようで、付き合っていない関係
先輩との関係はそれから何年か続きました。
会社では普通の先輩と後輩です。周りには誰にも話していませんでしたし仕事中はできるだけ普段通りにしていました。でも金曜日になると先輩の部屋に泊まりに行ったり休日には二人で出かけたり。旅行へ行ったこともあるし誕生日にはプレゼントも交換しました。
会社の飲み会で先輩が私の隣に座ったときなんてちょっとしたことでドキドキしていました。周りは何も知らないから普通に話しかけてくるんですが、私たちは前の晩も一緒にいたわけで…。そんなことを考えて一人で変に意識してしまうんです。
先輩の部屋には私の歯ブラシと部屋着が置いてありました。冷蔵庫には私の好きな飲み物が入っていることもあって、そういう小さなことが嬉しかったですね。
ただ私たちは一度もはっきりと付き合う約束をしていませんでした。
一度だけ「私たちって付き合ってるんですか?」と聞いたことがあります。先輩は少し笑って「どうだろうね。今のままじゃ嫌?」と言いました。
そのときは「嫌じゃないです」と答えました。実際一緒にいられるだけで十分だと思っていたんです。
でも本当は少し気になっていました。先輩にとって私は彼女なのか、それとも気の合う後輩なのか。たまに聞きたくなることもありましたが変に踏み込んで今の関係が壊れたら嫌だなと思うと何も言えなくて。
結局そのまま曖昧な関係を続けていました。
転職をきっかけに、会う機会が減っていった
先輩が転職を決めた頃から少しずつ関係が変わっていきました。
新しい職場は前より遠くて仕事も忙しそうでした。最初は週末に会えていたんですがだんだん予定が合わなくなってきて…。それまでは会社で毎日顔を合わせていたので特に約束しなくても仕事帰りにご飯へ行けたし、少し話すだけなら毎日できました。
それがなくなると思っていた以上に会わなくなるものなんですね。
先輩からの返信が翌日になることも増えました。私も仕事が忙しくなって連絡を後回しにすることがあり気づけば一週間何も話していないことも。最初の頃はスマホを見るたびに返信を確認していましたが、だんだんそれもしなくなりました。
一度だけ久しぶりに会う約束をしていた日に先輩からキャンセルの連絡が来ました。
「ごめん、今日どうしても仕事終わらなさそう」
「大丈夫です。また今度にしましょう」
「ほんとごめん。また連絡するね」
結局その「また今度」は来ませんでした。
喧嘩をしたわけでも別れ話をしたわけでもありません。ただ連絡する回数が減って、いつの間にか何か月も会わなくなっていました。
先輩の部屋にはまだ私の部屋着が置いてあったはずです。取りに行きたいと言えば会う口実にはなったんでしょうけど、そこまでする気にもなれなくて。もう先輩の生活の中に私の居場所はないのかな…なんて考えることもありました。
あんなに毎週会っていたのに終わるときはこんなにあっけないんだなと思いました。
女性との出会いを求めて掲示板を使い始めた
先輩と会わなくなって半年ほど経った頃そろそろ他の女性とも知り合ってみたいと思うようになりました。
身近にビアンの知り合いはほとんどいません。会社の人に話す気もなかったのでネットで探してみることにしたんですが、SNSで知らない人にいきなり話しかけるのはちょっと苦手で…。
そんなときに見つけたのが女性同士の出会いを目的とした掲示板でした。
最初は見るだけのつもりだったんです。恋人募集の人もいれば友達を探している人もいるし、年上が好きな人や気軽に会える相手を探している人もいて投稿を読んでいるだけでも結構面白かったですね。
先輩以外の女性とまともに付き合ったことがなかったのでこういう出会い方もあるんだなと新鮮でした。
何日か見ているうちに自分でも募集してみたくなって思い切って投稿しました。
たしかこんな感じの文章だったと思います。投稿してから何度も画面を確認して返信が来たときは嬉しかったですね。先輩を好きになったときの緊張とは少し違って、これからどんな女性と知り合えるんだろうという楽しみのほうが大きかったです。
掲示板で出会った女性たち
写真よりずっと綺麗だった年上の女性
最初に実際に会ったのは6歳年上の女性でした。
メッセージでは丁寧で落ち着いた印象の人だったんですが、待ち合わせ場所に現れた本人は写真よりずっと綺麗でちょっと驚きました。服装も上品で話し方も穏やか。かなり好みのタイプでした。
最初はカフェでお茶だけの予定だったのに気づけば三時間近く話していました。先輩とのことは詳しく話しませんでしたが女性と付き合った経験があることは伝えました。彼女にも以前女性の恋人がいたそうで、普段は誰にも話せないようなことを普通に話せるのが嬉しかったです。
その後も何度か会いましたが結局恋愛にはなりませんでした。見た目はすごく好みだったんですけどね。何度か会っているうちにお互い友達としてのほうが気楽だなという感じになってしまって。
今でもたまに連絡を取っています。最初に会った人がこの女性でよかったです。掲示板で知り合った人と会うことへの不安がかなり減りました。
最初から距離が近かった同年代の女性
次に印象に残っているのは同年代のかなり積極的な女性です。
メッセージの段階から「会いたい」「絶対気が合うと思う」と言ってくる人で、実際に会ってもそのままの性格でした。初対面なのに昔からの知り合いみたいに話すしとにかくよく笑う。私も一緒にいて楽しかったので何度か会いました。
三回目の帰り道だったと思います。突然「私たち付き合わない?」と言われたんです。
嬉しくなかったわけではありません。でもその頃の私はまだ誰かと真剣に付き合う気持ちになれなくて…。気持ちを伝えると彼女は少し黙ってから「そっか。私はちゃんと彼女が欲しいんだよね」と言いました。
そのとき少し申し訳なくなりました。私は会って楽しいならそれでいいと思っていたけど彼女は最初から恋人を探していたんですよね。
結局それから会うことはありませんでした。嫌な思い出ではないんですが、もう少し早く自分の気持ちを伝えておけばよかったなと思います。
会って30分で帰りたくなった女性
もちろんいい出会いばかりではありません。
ある女性とはメッセージでかなり盛り上がっていました。趣味も合うし写真の雰囲気も好きだったので会うのを楽しみにしていたんです。
ところが実際に会ってみると最初から質問攻め。仕事は何をしているのか、年収はいくらなのか、今まで何人の女性と関係を持ったのか…。先輩とのことも少し話したら今度はどんな付き合い方だったのかと細かく聞かれてしまいました。
いや、まだ会って30分も経ってないんだけど…。
しかも「今日このあと家に来ない?」と誘われてさすがにそれは断りました。すると「掲示板で会ってるんだからそういうのもありでしょ」と言われてしまって。
私だって女性と体の関係を持つことに抵抗があるわけではありません。でも初対面でそこまで決めつけられるのは嫌ですし、何よりその日はそういうつもりで会ったわけではありません。
結局早めに切り上げて帰りました。帰りの電車では会う前にもう少し相手の希望を確認しておけばよかったなと反省しましたね。
恋人ではないけれど、体の関係が続いた女性
もう一人今でも時々思い出す女性がいます。
私より二歳年下で最初から恋人を探しているわけではないと話していた人です。私もその頃は気軽に会える相手が欲しかったのでお互いにちょうどよかったんだと思います。
初めて会った日は食事をして近くのバーでもう一杯飲みました。お酒が入っていたこともあって結構いろいろな話をしたんですが、彼女は自分のことを隠さず話す人でした。恋愛の話も普通にするし女性と付き合った経験についても変に恥ずかしがらないんです。
終電が近くなった頃に「もう少し一緒にいたい」と言われたときは少しドキッとしました。その日は普通に帰りましたが、次に会ったときは自然な流れでキスをしてお互いの気持ちを確かめてから体の関係も持つようになりました。
先輩と初めて関係を持った頃とは違って私も少しは慣れていました。それでも相手が変わると緊張します。彼女は思ったことをはっきり言うタイプで私が遠慮していると「そんなに気を使わなくていいよ」と笑っていました。
会うのは月に二、三回くらい。食事だけの日もあればどちらかの家で夜を過ごすこともありました。毎日連絡するような関係ではないし恋人同士になる約束もしていません。でも会えば楽しいし一緒にいると落ち着く。私にはその距離感が合っていました。
数か月経った頃彼女から好きな人ができたと聞きました。
少し寂しかったです。何となくこの関係はまだ続くと思っていたので。でも最初からそういう約束だったし引き止めることはしませんでした。
最後に会った日もいつも通り食事をして普通に別れました。帰り際に「今までありがとう」と言われたときは少しだけ泣きそうになりましたが笑って手を振りました。
先輩のときもそうだったけど私の場合は大きな別れ話をするより自然に会わなくなることのほうが多いのかもしれません。
数年ぶりに先輩から連絡が来た
掲示板を使い始めて一年ほど経った頃、久しぶりに先輩からメッセージが届きました。
「元気にしてる?」
画面に名前が出た瞬間は驚きました。もう連絡が来ることはないと思っていたし、ちょっと嬉しかったです。
何度かやり取りをして久しぶりに食事へ行くことになりました。
待ち合わせ場所に現れた先輩は以前より髪が短くなっていました。服装も少し変わっていたけれど笑い方は昔のまま。会った瞬間に「あ、先輩だ」と思って何だか懐かしくなりました。
仕事の話をして共通の知り合いの話をして昔の失敗談で笑って。久しぶりなのに会話が途切れることもなく、やっぱり一緒にいて楽しい人だなと思いました。
ただ不思議と以前のような緊張はありませんでした。
食事の終わり頃に「今は誰かいい人いるの?」と聞かれたので掲示板で女性と出会っていることを話しました。先輩は少し驚いたあと「へえ、そうなんだ。楽しそうだね」と笑いました。
私も同じことを聞いてみると今は仕事が忙しくて特定の相手はいないそうです。
その話を聞いたときほんの一瞬だけ昔みたいな関係に戻ることもあるのかなと思いました。でも不思議なことに私から誘いたいとは思わなかったんです。
先輩のことは今でも好きです。嫌いになったわけじゃないし一緒に過ごした時間も大切な思い出です。でもあの頃みたいに先輩からの連絡を待ったり何を考えているのか気にしたりする自分はもういませんでした。
駅で別れるとき先輩が「またご飯行こうね」と言いました。
「はい、また行きましょう」
そう答えて手を振りました。以前なら次はいつ会えるんだろうと考えていたはずなのに、その日は普通に電車に乗って帰りました。
あの夜から、私の女性との出会いは始まった
学生時代は女性に興味があっても誰かに話すことはありませんでした。自分がどういう人を好きになるのかもよくわからず何となく考えないようにしていたところもあります。
社会人になって先輩と出会い初めて自分の気持ちをはっきり意識しました。
あの夜のことは今でも反省しています。相手の気持ちも確かめずに押し倒すなんて酔っていたとしてもしてはいけないことです。それでも先輩がその後も私の話を聞いてくれたことには感謝しています。
先輩と過ごした時間がなかったら今頃どうしてたんだろう…。たまにそんなことを考えます。
掲示板を使い始めてからはいろいろな女性と会いました。写真よりずっと綺麗だった人もいれば会ってみたら全然合わなかった人もいます。友達になった人もいるし短い間だけ親密な関係になった人もいます。
嫌な思いをしたこともありましたが、今は女性と知り合うことを以前よりずっと気楽に楽しめています。
実は今も掲示板で知り合った女性とやり取りをしています。
同年代で少し人見知りらしい人です。映画の好みが似ているし食べ物の話でもよく盛り上がります。メッセージを送ると結構長い返事が来るので読むのが楽しみになってきました。
先週思い切って食事に誘ってみたらOKしてくれました。
今度の週末が初対面です。
恋人になるかもしれないし友達になるかもしれない。会ってみたら全然気が合わない可能性もあります。でも今はそれも含めて楽しみです。
学生時代の私だったら女性との待ち合わせをこんなに楽しみにするなんて想像もできなかったと思います。
先輩と初めて出会った頃からずいぶん時間が経ちました。あの夜のことを思い出すと今でも恥ずかしいけれど、今は女性を好きになる自分を隠そうとは思いません。
とりあえず週末に着ていく服を決めないと。
何を着ていこうかな…。